農業に伴う環境負荷を具体的にエコラベルのような形で示すことを目標とし、静岡県の茶畑における硝酸性窒素汚染の把握、及び硫黄脱窒プロセスや純菌を用いた好気性脱窒による硝酸性窒素除去効果を把握した。茶園流出水中の硝酸性窒素は10mgN/Lを大きく超えており、茶栽培に伴う高い窒素負荷の寄与が見受けられた。硫黄脱窒素プロセスは、有機物を用いることなく、独立栄養的に硝酸性窒素を除去する有効な手法と考えられているが、今回対象とした地域では、突然の性能悪化が見受けられ、その原因把握が必要と考えられた。分子生物学的手法を用いた解析からは、プロセス中に処理を担う硫黄脱窒細菌の存在が確かめられており、他の因子、阻害物質や酸素、滞留時間の影響により、微生物の活性が低められていることが推察された。 一方、純菌を用いた好気性脱窒では、窒素に対して与えるべき有機物負荷が極めて大きく、茶業地域への窒素削減シナリオとしても適用は、効果的ではないと判断した。 一方、より統括的に作物栽培による環境負荷を把握し、レーダーチャート様にエコラベルを示すことを目的とし、埼玉県三富地域を対象としたアンケート調査を行い、窒素、リン、水、農薬といった項目の算定方法を検討し、同地域のホウレンソウとコカブに対し適用した。その結果、作物ごとレーダーチャートの形は大きく異なり、本方式を地域ごとに導入する有効性が示唆された。
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