昨年度は世界の野生イネのCPD光回復酵素の推定アミノ酸配列には種間で変異がみられ、2つのグループに別けられることを報告した。O.meriodionalis (Australia)、Oryza barthii (Africa)、Africaの栽培イネO.gluberrimaは、農林1号型であったが、O.rufipogone(Asia原産)はサージャンキ型であった。今年度は、これら野生イネ種のUVB感受性、CPD光回復酵素遺伝子の構造と酵素活性との相関関係を解析し、次のことを明らかにした。この成果を論文にまとめているところである。1)O.meriodionalis、Oryza barthii、O.gluberrimaの推定アミノ酸配列はindica riceであるSurjamkhiより強い抵抗性を示す農林1号型であったが、O.rufipogoneはSurajamkhi型であった。2)O.meriodionalis、Oryza barthii、O.gluberrimaの葉から調整した粗酵素液のCPD光回付酵素活性は農林1号と同等ないしはそれ以上強かったが、O.meriodionalisの酵素活性はSurjamkhiより低かった。3)太陽光下での各種の生育に及ぼすUVB付加の影響試験の結果、いづれの種においても生長は低下した。その程度は種間、種内間で異なった。栽培イネ品種の中で最も強い抵抗性を示すササニシキよりも僅かであるが強い抵抗性を示すO.meriodionalisが存在することが分かった。4)野生イネ種のUVB感受性とDPD光回付酵素活性の間には一定の相関関係が成立することが明らかとなり、これまでに示してきた栽培イネの実験から得た説が野生イネにも適用できることが分かった。
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