研究概要 |
昨今の畜産現場での抗生物質の日常的な乱用を憂慮し、この弊害の軽減をはかるため、受動的な存在でありながら生物界に君臨している植物に注目し、その二次代謝成分の活用を考えた。 本研究では家畜の健康飼育を損なう腸内細菌のうちの悪玉菌に対して強い抗菌活性を示し、善玉菌に対しては活性がない、もしくは弱い活性を示すような成分を保有している植物を探すことから始め、熱帯産樹木のメルボウ(Intsia sp.、マメ科)が目的にかなうことを確かめた。 そして、今年度、年度当初に計画したように次の研究成果をえた。(1)メルボウの目的に適う成分として2,4-dihydroxybenzaldehyde(1)、2,4-dihydroxybenzoic acid(2)、naringenin(3)、guercetin(4)、oxyresveratrol(5)他を確認し、同定した。(2)上記の成分(1)〜(5)をメルボウからそれぞれ単離した。(3)成分(1)〜(5)それぞれの最小阻止濃度(MIC)値を求めた。(4)悪玉菌に対して活性の強かった(1)〜(3)も、別途、測定した抗生物質の一つchloramphenicolやβ-thujaplicinに比べるとやや劣っていた。(5)目的の活性成分を含む樹木としてニセアカシア(マメ科)を発見した。
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