研究課題/領域番号 |
16651038
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥村 英之 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (80362573)
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研究分担者 |
石原 慶一 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (30184550)
山末 英嗣 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手(助教) (90324673)
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キーワード | 窒素吸蔵合金 / メカニカルアロイング / 非平衡相 / 磁性 / Ca-Fe / Ca-Co / La-Ni / 微細構造 |
研究概要 |
Ca-Fe合金系にミリングを施すと、単体元素のみをミリングした場合のそれぞれの元素の窒素吸蔵能の和よりも吸蔵能が増加した。また、ミリング時間の増加とともに窒素吸蔵能が向上した。50時間のミリング後Feの磁化の減少は7%であるが、Ca-Fe混合系にミリングを施すとFeの磁化は32%減少し、この磁化の減少はCa-Fe非平衡合金相の形成を考えないと説明が難しい。x線解析の結果とも考えあわせると、ミリングによってアモルファス・微結晶構造を持ち窒素吸蔵能を持った新しいCa-Fe非平衡合金相の形成が強く示唆される。 同様にCa-Co合金系においてもボールミリング法を用いて混合した試料においては、ミリング時間の増加とともに粉末がナノレベルに混合され、X線回折分析や磁気測定およびモデル分析、窒素吸蔵測定の結果からアモルファス・微結晶構造を持ち窒素吸蔵能を持った新しいCa-Co非平衡合金相の形成が強く示唆された。また、最大で合金1molあたり0.2molの窒素の放出が確認されたが、これはCa-Fe系の0.5molの窒素放出に比べると小さい。ただし、もとの純元素による窒素の吸蔵能力を考慮すると、ミリング処理によって向上した窒素吸蔵能力はCa-Co系合金の方が優れているといえる。 また、La-Ni系合金に関しては、水素吸蔵でよく知られているLaNi5合金について研究を進めた。アンモニアガスを用いた場合、粉砕したLaNi5は窒素を合金1モルあたり1.5モル吸蔵し、0.5モル放出する能力があり、粉砕処理によって窒素吸蔵量が増加するが、550℃以上ではLaNを生成し窒素を放出できなくなる。また、水素ガスを用いた活性化処理は窒素ガスの吸蔵にわずかではあるが有効である。総合的に見てLaNi5は窒素吸蔵量に関しては既存の希土類合金に匹敵し、経済的に見ても最も効率的な窒素吸蔵合金の一つである。また最近は新たな窒素吸藏合金としてLi系のミリングも行い、化学真空ポンプの作製などについても活発に研究している。
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