研究課題
液体中において、超音波による定在音場中に補足された単一気泡が周期的に発光する現象は、単泡性音響発光として知られている。これは音場によって気泡が衝撃波圧縮する際に気泡内部の温度が10000K以上に到達するため、と解釈されている。一方、パルスレーザーを利用したレーザー誘起の衝撃波に関する研究が、比較的簡単に高圧条件を短時間に生成できることから盛んになっている。本研究では超音波により発生する単泡性衝撃波と高強度レーザーによって誘起される衝撃波を同期させ、超高温超高圧の衝撃波圧縮を実現を目指す。本年度は、単泡性音響発光発生装置を製作し、性能評価した。同時に大気中における硫黄化合物の酸化過程について研究した。エアロゾルや雲核の形成などに結びつくため、大気化学中重要な反応の一つである硫黄化合物の酸化反応の機構は未だに明らかにされていない部分が多い。中でも重要な反応中間体と考えられているCH_3SOOについてはほとんど知られていない。そこで本研究では、RSOOラジカル(R=CH_3,C_2H_5,C_3H_7)の赤外吸収スペクトルを、極低温マトリックス単離法を用い測定することを目的とした。ジメチルジスルフィド(CH_3SSCH_3)などのジスルフィド(RSSR)を極低温酸素マトリックス中で紫外光(低圧水銀灯、253.7nm)を照射し、生成したRSとマトリックス媒体である酸素との反応によりRSOOを生成させた。ジエチルジスルフィドを例に挙げると、紫外光照射により親分子の減少と、複数の生成物の出現が確認できた。赤外吸収スペクトルから主生成物としてオゾン(〜1040cm^<-1>)、ジエチルジスルフォン(1150および1342cm^<-1>)を同定した。1180〜1200cm^<-1>にかけて観測された比較的幅広なバンドは量子化学計算(B3LYP法)で見積もられたC_2H_5SOOのもっとも強い吸収を与える振動周波数とほぼ等しく、C_2H_5SOOのO-O伸縮振動による吸収であると帰属した。このように、反応中間体RSOOラジカル(R=CH_3,C_2H_5,C_3H_7)の分光学的検出に成功した。
すべて 2004
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Journal of Geophysical Research 109(D8)
ページ: D08308