研究課題
本年度は、スピン量子エンタングラー創成の基礎となる、1:カーボンナノチューブでの近接場超電導と純粋な超電導の発現、2:それらを利用したクーパー対の分離、に注力して研究を行った。その結果1に関しては、アルミナ膜ナノ細孔に気相形成した多層ナノチューブを完全に終端しすべての層を電気的に活性化することで、世界で初めて転移温度T_c=12Kという高温で純粋な超電導を発現させることに成功した。これまでのナノチューブでの超電導の報告は僅か2件であり、各々T_c=0.2K程度の超電導とマイスナー効果のみからの超電導同定の報告であった。上記結果は、それに比べて飛躍的なものであることがわかる。さらにこの超電導発現が、電極とナノチューブの接合方法に極めて敏感であることを発見し、ナノチューブが本来持つ「朝永・ラッティンジャー液体(一次元系に閉じ込められた電子間のクーロン斥力に起因)」と「電子間引力からなるクーパー対の凝縮で発現する超電導」という相反する電子間相互作用の競合の結果、低温領域で超電導が発現するというメカニズムを究明した。また2に関しては、朝永・ラッティンジャー液体を持つ複数の多層チューブの先端に超伝導電極(Nb)をスパッタ蒸着し、ナノチューブにクーパー対を注入する実験を行い、朝永・ラッティンジャー液体のクーロン斥力によりクーパー対が個々のスピンへ分離され別々のナノチューブに注入されることを示唆する現象を発見した。さらにこの系に磁場を印加することで、分離のさらに強い証拠と分離されたスピンの振る舞いを解明しつつある。
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Indian J.Chemistry, special Issue for Electrochemistry at Nano Electrodes (発表予定)(印刷中)
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