ナノ微粒子をフォトポリマーに分散させ、それを光重合時に光強度分布に応じて移動させることでフォトポリマー有機化合物との間で非常に大きな屈折率差を生み出すことで多機能性ホログラフィック記録材料を実現することを本研究の目的とした。以下に研究実績の概要について列記する。 1.ホログラフィック露光によるモノマーの拡散に伴いナノ微粒子が逆方向に拡散する相互拡散過程がホログラム記録形成の主な機構として働いていることを種々の物理的測定(透過型電子顕微鏡、電子線マイクロアナライザー、光学的なホログラムの位相差測定)から実験的に立証した。 2.相互拡散モデルに基づくモノマー/ポリマー/ナノ微粒子の光重合に伴う動力学とホログラム形成についての理論を相互拡散モデルに基づいて定式化し、ホログラム形成の動特性が光強度に強く依存することや最大の屈折率変化を与えるナノ微粒子最適濃度が存在することを見出した。さらに、実験によりこれらの理論的予想を実証した。 3.ラジカル重合モノマーおよびカチオン重合モノマーを用いた有機ナノ微粒子(ハイパーブランチポリマー)分散フォトポリマーによるホログラフィック記録を実証するとともに、屈折率変調ならびに記録感度とホログラフィック露光に伴う重合収縮がナノ微粒子分散濃度の増加とともに大幅に改善されることを明らかにした。
|