本研究では、現在のマイクロマシンと生物が利用する熱揺らぎを運動に変換する機構を融合してナノマシンへの展望を開くことを長期目標とし、第一歩として表面間の分子間相互作用を光や電位など微小機械上で電子回路技術を用いて制御できる刺激により変化させることを試みた。具体的には、単結晶の表面を光や電位を感じて分子間相互作用が変化する分子によって化学修飾し、表面間に働く力(接着力や摩擦力)を外部刺激(光や電場)の関数として測定することを目標とした。 力を敏感に測定するため、水晶振動子をカンチレバーとして用いて周波数シフトのFM位相検出を行う回路を製作した。STM用のピエゾを購入し、溶液中での測定を試みている。また、極性半導体分子であるAlq3について、偏光を照射しながら薄膜成長を行うと偏光の向きに結晶方位が配向することがわかった。この機構は、本研究が目的としている分子間相互作用の光による変化に関連していること、具体的には単一分子ではなく、エピタキシャル成長により反転対称性を失って成長した微結晶・クラスターが光励起されて大きな電場が生じ、それが分子をひきつけることが理由であると考えられる。 装置の開発がほぼ終わったので、今後はカンチレバー先端の分子とパターン化した表面と野相互作用、化学修飾した微粒子を用いて、光の断続照射によるブラウン運動の制御の可能性を探る。
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