研究課題/領域番号 |
16651087
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 正美 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (50109021)
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研究分担者 |
落亀 利章 (財)建築研究協会, 日本建築第三部研究室, 室長
小林 広英 京都大学, 地球環境学堂, 助手 (70346097)
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キーワード | 文化財 / 災害 / 防災 / リスク・マネジメント / 防火設備 / 木造 |
研究概要 |
本年度は、文化財防災施設工事の実態を把握するために、国宝・重要文化財建造物、伝統的建造物群保存地区、登録文化財建造物について、次のような調査研究を行った。 国宝・重要文化財建造物に関しては、国によって特殊防災事業として位置づけられた、比叡山延暦寺、東大寺、姫路城、日光二社一寺について、管理者への聞き取り調査と現地視察を行い、導入された、あるいは計画されている防災設備の種類・規模・性能を調査し、問題点を把握した。また、文化財保護法制定以後の重要文化財建造物の防災施設工事報告書を22事例収集し、図面と仕様表から同様の調査を行い、時代ごとの設計方法の傾向を把握した。 伝統的建造物群保存地区として金沢市と白川村を訪れ、同地区を災害から守るための防災設備の稼働状況や管理体制、防災訓練を視察した。また、役所の担当部署での聞き取り調査を行い、関連資料を入手した。 登録文化財建造物については、木造の建築物が現行の法規の中でどのように位置づけられ、防災対策が施されているのかを明らかにするために、山形県銀山温泉能登屋旅館等、寺社以外の用途の調査を先行的に開始した。建築物の改修過程や防災設備の設置状況、種類の調査と、管理体制の聞き取り調査を行った。 この結果、文化財の防災対策は設備的な対策に偏重しており、さらに設備機器の複雑化による維持の困難さと管理が不十分であることが確認された。 また研究の過程で、我が国と同じく木造都市の歴史と、大規模な地震火災の経験を持つサンフランシスコ市がユニークな文化財保護政策、防災対策を行っていることが判明し、研究を開始した。いくつかの文化財建造物の保存団体やサンフランシスコ市と連絡を取り、資料の収集をすると同時に、現地調査のための予備調査を行った。
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