本年度の研究としては、テーマのプロジェクト・マネジメントの国際比較、のうち、プログラム・マネジメントの理論的な課題について、3つの論稿・著作を作成した。1つは、浅田・小原・鈴木編「プロジェクト・バランススコアカード」生産性出版であり、ここでは、プログラム・マネジメントの評価に必要な価値指標の役割とプログラムマネジメントとの関わりについて、事例を交えながら議論を展開した。とりわけ、事例については、実務家からの協力により完成することができた。2つめは、「プロジェクトによる組織変革志向の管理会計」『企業会計』で、管理会計のプロジェクト支援システムの必要性とその関わりを現代の企業課題との関係で明らかにした。とりわけ、現代企業の愁眉の課題は、戦略を効果的に展開する仕組みをどうつくるかということである。3つめは、「プログラム・プロジェクト・マネジメントのためのパフォーマンス評価指標に関する一考察」『経済学研究(九州大学)』で企業の公式戦略の展開に関連して、戦略案としてのプロジェクトの形成を予算管理システムに落とし込むシステムとして、「新たな管理会計モデル」が必要であることを検討している。これら、いずれの論文も、プロジェクトあるいはプログラムと呼ばれる、単純な個別構造計画あるいは、複雑な構造計画に関連して新しい価値評価指標が、必要であることと、それが、どういままでの公式管理システムを補完あるいは、支援できるかについて、詳しく、展開したものである。 なお、今年の当初の予定では、これらのモデル仮説を基にして、現実の企業のおける、新製品開発に関与するプロジェクトあるいはプログラム・マネジメントの実態を調査することも課題であった。しかし、質問表ならびに、基本的な調査仮説が、十分に予備テストする時間がなく、年度末に、質問状が完成し、現在、企業からの意見を聴取し、完全版を作成し終えた段階である。この調査票をうけて、平成17年度の研究において、日本の製造業、欧州(予定では、イギリス、フランス)の製造業における、プロジェクト・プログラム・マネジメントの基本的な特徴を明らかにし、その比較を交えながら、現代企業のおける、プロジェクト・マネジメントの国際比較とそこで、必要な評価指標の関わり調査する予定である。
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