日本企業におけるプロジェクトマネジメントの評価に必要なモデルとして、戦略的マネジメントコントロールモデルの1つとして、PBSC(プロジェクト・バランススコアカード)について、可能性とそれに関連する評価モデルとして、ステージゲート法の可能性についてサーベイを行った。また、企業のおける製品開発プロジェクトについて、ENPD(environmental new product development)、環境対応製品開発とNPD(new product development)製品開発の違いに注目し、両者の間で、製品開発プロセスで必要な情報の種類、情報の更新の頻度・程度、外部情報の範囲の違いなど、開発プロセスに必要な情報とそのプロセスでの活用の違いに注目し、製品開発プロジェクトにおける評価モデルとそれに関連する変数との関係を明らかにした。結論から言うと、ENPDとNPDにおいて、外部社会環境に関する情報収集の頻度や更新などで有意な差が存在し、それが製品開発戦略において、コストと差別化の違いだけでなく、時間競争の3つの変数の組み合わせと関わることが明らかになった。 国際比較研究については、米国の大手ソフトウェアー開発会社と共同で、欧米へ製品開発プロジェクトのアンケートを実施したが、十分な回収率を確保できず、日本企業のデータのみで分析する結果になってしまい、国際比較研究としては、成功しなかった。今後は、プロジェクトの国際比較については、大学研究者のネットワークを活用して、再度行うことにしたい。なお、別の国際サーベイとして、イギリス、イタリア、日本の3カ国における、工場レベルでの生産性・効率性評価指標の研究では、一定の成果をあげることができ、これについては、2006年度4月のヨーロッパ会計年次大会ならびに、2005年4月のヨーロッパ会計年次大会で報告をおこなった。 また、PBSCならびに、ステージゲート法に関する考察については、2005年5月のハワイ国際経営会議と2005年12月会計研究学会関西部会統一論題報告で、招待講演をおこなった。
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