研究概要 |
ここでは,絵本の対象は幼稚園年長組から小学校1,2年生として,その表現方法と内容を検討した.前者については,高知県が作成することになった漫画絵本(漫画のキャラクターを絵本中に挿入して,重要な内容が幼児にも理解できるようにしたもの)を具体化し,出版した.これは「南海地震に備え」(家庭保存版)として,漫画家のやなせたかし氏(アンパンマンの作者)の協力で,『じしんまん』『つなみまん』『たいさくくん』『ヘルパちゃん』『ゆうどうくん』『トラフ博士』のキャラクターを作成し,彼らが文中の重要な事項をわかりやすく解説するという方法で,「南海地震は必ず起こる」「地震から自分の命を守る」「今から備えよう」の3章にわたる解説記事をわかりやすく表現することができた.一方,安政南海地震津波を対象としたものについては,昭和12年から22年の10年間にわたって小学校5年生の国語の教科書に用いられた「稲村の火」の普及版を歴画(史実に基づく劇画)「浜口梧陵ものがたり」によって再構成するプロジェクトを日本災害情報学会において編集員会を立ち上げることができた.そこでは,漫画家のクニトシロウ氏の協力で約200ページの基本案を作ることができた.とくに問題としたのはストーリー性もさることながら,「稲むらの火」はフィクションとしては記述内容に問題はないものの,この内容がすべて実際に起こったことであると誤解されていると言う点である.そこで,津波が引き波から始まったという点を是正することもこの本の出版で試みることになった.具体的には地震と津波研究者が文中で解説を入れる形で話が展開できるようにしようとした.この本はさらに平成17年度検討を加えた後,出版することになっている.
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