研究概要 |
(1)地域の災害文化と伝統的な災害対応の洗い出しと整理 古民家が数多く残る集落,伝統的な町並の残る集落として,岩手県田老町,奈良県大宇陀町・今井町,大阪市平野地区において,1)民家の構造的特徴,2)当該家屋での(伝承を含む)防災対策,3)集落での防災対策,4)災害履歴,5)集落共有財産の有無とその利用方法を民家の所有者などに対して聞き取り調査を行った。また,祭りなどの地域に残る伝統行事とそれらに対応する集落組織に関しても聞き取り調査と資料収集を行った。 (2)災害対応を可能とする地域資源の見直し 調査対象地の地域防災計画や要覧・市町村史などの資料を収集し,防災対策や歴史などの地域的特色に関して分析を行った。また,人口や調査集落の災害対応を可能とする資源を1)人的資源,2)物的資源,3)施設資源,4)資金資源に分け整理を行った。 (3)災害対応調査の実施 昨年度,調査計画地域外で発生した自然災害の当該地域でのその後の災害対応状況と課題を抽出すべく,新潟県中越地震の被災地,小千谷市と台風1号被災地である三重県の関係機関にて聞き取り調査と資料収集を行った。また,三重県伊勢市・尾鷲市において,今後30年以内に襲うであろう巨大地震災害に対する地域づくりや家屋のメンテナンスを検討するために,地域固有の木造住宅とその住まい方に関してアンケート調査・住宅の構造調査・住まい手へのヒアリング調査を行った。さらに,比較検討のため,来年度に同様の調査を四国にて実施する計画をたて,その準備のために,高知県高知市と周辺地域において資料収集を行った。
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