研究課題
幾つかの自己免疫疾患特異的な遺伝子を包括的に単離するうち、本年度は動脈炎について多数の特異的な遺伝子の単離二成功した。動脈炎とは大動脈及びその主要な分枝や肺動脈、冠動脈に狭窄、閉塞、または拡張性病変をきたす原因不明の非特異的大型血管炎で、厚生労働省から難病の一つに指定されている。30人分のインフォームド・コンセントをとった動脈炎患者31名の血管細胞から8名の健常人の血液細胞を差し引くかたちの段階的サブストラクション法を行うことで高安動脈炎患者の発現特化型cDNA(TIAN)を包括的に単離した。これら遺伝子を調べることで未だ明らかになっていない動脈炎の病因の解明や早期診断・病態のマーカーにつなげることが可能となる。段階的サブトラクションは4次まで行いここでインサート率の低下と遺伝子の重複がみられたので、ほぼ単離できたといえる。シークエンスの結果、単離した73個のうち約半数は未知の遺伝子であった。健常人に比べて、患者で遺伝子の発現量が高い。また、単離した遺伝子のノーザンブロットから3つのタイプに分類できる。タイプ1は高安病患者にのみ発現しているいわゆるマイナスプラスタイプ、タイプ2は健常人も患者でも両方で発現しているが患者により強い発現がみられるタイプである。最も重要な意味をもつのはこのタイプ1の遺伝子であろう。単離した計73個のクローンでタイプ1は55個、タイプ2が16個、タイプ3は2個であった。一方、アジレント社のDNAチップを援用して、上記のノーザンブロット解析では検出できずPCRにおいてやっと検出できる発現量の低い動脈炎特異的な遺伝子を32種類見出した。これらについてリアルタイムPCRにより各患者個別の発現量を測定しながら病態との関連を解析しつつある。
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