本年度は3年の科研費調査の初年度にあたるため、1960年代を中心に出版された『ソ連外交文書集』の日ソ関係及び、それと深く関連した項目(ソ中、ソ蒙、ソ米関係)を整理して一覧表を作成し、順次解読を試みた。現在に至るまで外交文書集で刊行されているのは、1941年までであり本研究でカバーする1953年までの後半については、その他の刊行文献及びアルヒーフ資料に頼らざるをえない。 諸般の事情により、計画した2004年9月のモスクワ訪問は、2005年1月に延期せざるをえなかった。図書館(旧レーニン図書館、科学アカデミー図書館、歴史図書館)で文献を収集し、公文書館(ロシア国立社会・政治史史料館=スターリンの個人フォンド、ロシア連邦外務省史料館、ロシア国立連邦史料館等)で、史料の所在を調査することができた。 対日関係と深く関連した満洲問題について二本の論文を執筆した。「スターリンと中東鉄道売却」『中国東北地域史研究の新視覚』(2005年7月刊行予定、11.研究発表には非掲載)では、日本及び満州国との交渉の末、中東鉄道を1935年に売却するまでの過程、それに対するスターリンの関与を明らかにした。「スターリンと満洲-1930年代前半のスターリンの対満州政策」『東北アジア研究』では、満州問題に対するスターリンの厳格な中立政策、指導部内での意見対立等に関しても明らかにした。
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