最終年度である本年度は、日本人によって発音された英語のcomprehensibilityに影響を及ぼす要因を日本人英語側から見つけることを主な目標に実証研究を行った(本研究におけるcomprehensibilityとは、聞き手が主観的に評価した分かりやすさの度合いを意味する)。具体的には、日本人大学生複数によって吹き込まれた英語をアメリカ人大学生(英語を母語とするグループ)と香港中国人大学生(英語を第二言語とするグループ)に聞いてもらい、アクセント(訛り)、流暢さ、明瞭さのうち、聞き取りやすさに最も影響を及ぼすものはどれかを調査した。結果、最も影響力のある因子は、アメリカ人、香港中国人被験者ともに「明瞭さ」であることがわかった。多様な母語話者が含まれる国際コミュニケーションの現場では、訛りのない英語や流暢な英語よりも、明瞭な英語が重要であることを改めて示唆する結果が得られた。 今後の研究展開として、日本人英語のcomprehensibility評価に影響力大であることが示唆された「明瞭な発音」とは具体的に何を指しているのか、という課題に取り組むことが不可欠であると思われる。このため、研究者グループは、英語母語話者(アメリカ人大学生)と英語に堪能な非母語話者(英語教育を専攻する韓国人大学生)を被験者として、日本人英語をディクテーションしてもらい、両被験者グループにとって聞き取り困難なノンネイティブ英語発音(子音、母音、ストレス、イントネーションを含む)を洗い出し、分析するという作業に着手した。来年度以降もこの課題に取り組む予定である。
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