研究課題/領域番号 |
16652045
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
田浦 秀幸 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (40313738)
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研究分担者 |
齋藤 美和 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (90324962)
小泉 博一 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60247567)
JONATHAN Augustine 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (70346120)
吉川 敏博 天理大学, 国際文化学部, 教授 (20123391)
植松 茂男 摂南大学, 国際言語学部, 助教授 (40288965)
羽藤 由美 福井県立大学, 学術教養センター, 助教授 (50264677)
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キーワード | 外国語教育 / 英語教育 / 言語習得 / 言語保持 |
研究概要 |
1年目は、移民や帰国子女等の生活言語の変化に伴う言語保持と喪失を研究テーマとして扱った1932年以降の論文115編を調査した。 その中で対象言語との接触が無くなった後に言語喪失が必ずしも起こるとは限らないとの報告があったは、外国語に関するものは僅かにWeltens他(1989)の研究のみ、第2言語でもCohen(1974),Yoshitomi(1999),吉田他(1989)の3研究だけであった。しかしこの4研究に関しても、幼少時第2言語圏で体得した言語が帰国後どのように変化するのかを観察した3研究では、保持は非常に限定的な部分で見られた程度で、はっきりとした保持と向上が報告されたのは、英語を教室環境で4-6年間学習したオランダ人高校生・大学生を追跡調査したWeltens他(1989)の研究のみであった。その原因をWeltens他は、被験者が学習終了直前にかなり高いレベルの英語力を獲得していたのと、英語力測定ツールが受容能力に偏っていたことを挙げている。このように(1)幼い頃に自然環境で習得した言語はどれほど流暢に使いこなしていても、母国に帰国すると必ず早晩言語能力の低下が始まり、(2)認知力の発達した高校生や大学生が教室環境で学習した言語も産出力の低下は学習終了後必ず起こり、受容力についてもかなりのレベルに到達していないと保持できないと言える。 次に帰国後の言語保持や喪失に直接・間接的に関わっていると考えられる要因である(1)対象言語との接触開始年齢、(2)習得期間、(3)習得終了時の年齢、(4)学習・終了後の経過時間、(5)対象言語の読み書き能力の最終到達度の5点に関して先行研究結果を詳細に調査し直した。すると、公教育の最初から4年間(小学校1年生から4年生まで)を第2言語圏で生活し、現地の言語で読み書きを学べば、帰国時の年齢や優勢言語、帰国後の期間、測定対象スキルに関係なく、第2言語の保持レベルが高いことが判明した。
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