研究課題/領域番号 |
16652045
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
田浦 秀幸 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (40313738)
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研究分担者 |
齋藤 美和 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (90324962)
羽藤 由美 京都工芸線維大学, 基盤科学部門, 教授 (50264677)
J Augustine 京都工芸線維大学, 基盤科学部門, 助教授 (70346120)
吉川 敏博 天理大学, 国際文化学部, 教授 (20123391)
植松 茂男 摂南大学, 外国語学部, 教授 (40288965)
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キーワード | 外国語教育 / 英語教育 / 言語習得 / 言語保持・喪失 |
研究概要 |
研究1年目に英語力推移測定に適したツールを選定し、2年目に被験者(n=17)の卒業前の英語力を、3年目に同じ被験者から卒業1年後のデータを収集し分析した。データ収集には卒業前の英語力による群分け用にTOEICを、2/3年目にはスピーキングタスク(Mayerのfrog story)・ライティングタスク(TOWL-3)・スピーキングテスト(PhonePass)を用いた。流暢さ・ライティング力・語彙力の面から61変数対象に分析した結果、(1)卒業時上位群(>TOEIC800点)はTOWL-3/PhonePassや発話時の語数/分の保持が高かった、(2)下位群(<500)は他群が保持を示したタスク(TOWL-3)でも低下を示した、(3)中位群はタスクにより上位群の傾向を示したりまた下位群と同じ傾向を示す時があった。つまり教室環境で学習された英語力の保持には2閾値があり、上の閾値はTOEIC800点レベルで、これに到達すると卒業後の低下は非常に緩やかであるが、TOEIC500点にも満たないで卒業すると下の閾値以下であり、低い英語力が更に容易に低下する。両閾値間に位置する中位群は、確固とした力がまだ付いておらずタスクにより保持と低下の揺れが非常に大きいと仮説を立てることが出来た。 次に全データを回帰木分析した結果、卒業前のスピーキングタスク時に十分なK1(1000語)レベルの語彙数があれば、余裕が出来るためかポーズの頻度が低く長さも短く、発音にも十分気を付けられることがわかった。このような傾向を持つ被験者は卒業後1年経過しても、K1以上レベルの語彙想起も容易にできるので、ライティング時には基本的句読法や文法、スピーキング時には物語の構成に十分注意を払え、それによりポーズ率も低く流暢さを保持できていた。即ち、卒業前にいかにK1レベルのtypeとtokenの産出が容易に行われているか(ライティング・スピーキングともに)が、卒業1年後の英語産出能力の保持率を決定する大きな要因であるこが示唆された。
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