本年度は、英語プレゼンテーションの学習効果について、Alex OKUDAの提唱するIPES(Illustrated Presentation for English Speaking)手法の考え方に基づき、これを計測するためのシステム開発・検証授業・学会発表を行った。DVD映画ではなく学習者が発表したい内容を自ら決定し、スライドショーを作成してプレゼンテーションを行った。DVD映画を用いた発信型英語教育は次年度に行う。本年度開発したRPAS(Real-time Presentation Assessment System)は、高校生向けプレゼンテーション学習支援ツールとして開発・実験済みのものであり、一部本研究用に改変をして利用した。聴衆について、アンケートを実施した。顕著な結果が現れた質問についてのみ、列挙する。いずれも同意〜非同意を4段階(4〜1)で尋ねた。 ・聴衆として参加することの意義について (2)プレゼンに聴衆として参加することは、学ぶことが多い。 ・RPASの操作性 (4)リターンキーを押すとき、判断に迷った。 (9)質問するように促されたら、1つ以上の質問ができる。 (10)意見を求められたら、1つ以上の意見が出せる。 ・総合評価 (11)この方法(同時・同期・相互評価)は、英語力の向上に役に立つ。 (11)は平均3.4で、RPASが聴衆の学習に効果的であることが確認された。特に(2)と(4)が平均3.8という高値になる一方で、(9)(10)は平均2.6、2.4と低い値を示した。これは、評価をしようとすると認知負荷が高まり、発音や間のように"内容と直接関係のない観点での評価"は、内容理解の妨げになるということを示唆している。つまり、"キーワードが判ったときにキーを押下する"ように指示すれば、"発表者の言いたいワードを聞き取る"ことに意識が集中し、英語の聞き取り・理解に大きな効果を得ることができると結論できる。少し慣れたら"キーワードが聞き取れたとき"や"納得したとき"のような評価観点を指示することがRPAS本来の効果的な利用法である。
|