研究概要 |
光合成を行わずに肥大成長する菌類は,基質から炭素を吸収して肥大成長する.そこでまず,樹木を用いてカビやキノコを発生させ,樹木とカビやキノコの放射性炭素(C-14)濃度を比較する実験を進めた.基質となる木材の放射性炭素(C-14)濃度を正確に求めた.これは樹木から放射状に,成長錘を用いて年輪をくりぬきそれを,それぞれの年輪ごとに分けて,C-14濃度の経年変化を正確に測定した.この木材の一部を用いて,カビやキノコを発生させ,それらの生成物のC-14濃度を測定し,木材のC-14濃度と比較を試みたが,カビやキノコをうまく生成することができなかった.条件を変えて,生成を試みているところである. 次に,シイタケの菌を植え込んだクヌギ材が市販されているので,それを購入し,それから生えてきたシイタケについてC-14濃度測定を行った.クヌギ材は,2003年秋に伐採され,その後まもなくシイタケの菌が植えられたものを,2004年の秋に購入したものである.シイタケ試料のC-14濃度は,ほぼ,2003年頃の年輪のC-14濃度と一致していることを確認した.後から生えてきたシイタケについてもC-14濃度や安定炭素同位体比の測定を準備している. カビの培養実験については,インキュベータを準備し,C-14濃度のわかっている果物片を用いて自然のカビを発生させることを試みた.残念ながらC-14測定に用いるだけの炭素量をカビから取り出すことができなかった.カビの培養を多量に行うために,専用の培養基質を購入した.この基質の炭素同位体分析およびカビ培養の準備を行った.
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