(I)今年度の研究は、当初の予定通り、「北海道の掘り起こし運動」の関係者のお世話になりながら、強制連行跡地を訪ね、郷土史家・元炭鉱夫の方などにインタービュー調査することが中心を占める。例えば、(1)「掘り起こし運動」のメッカでもある北見市(さらに網走市)に行き、置戸・イトムカ水銀鉱山跡、ポンモイ石切場、それが使われた美幌飛行場跡などを訪ね(2004.4)、(2)さらに、多くの連行労働者が使役された夕張炭鉱、美唄炭鉱跡及び末広墓地(2004.5)、同じ炭鉱関係では、芦別・赤平・歌志内における朝鮮人労働者の寮の跡などを視察した(2004.9)。(3)また、大量の中国人強制連行労働の犠牲者の骨が出てきた室蘭イタンキ浜に行き、郷土史家の方とともに、かつての事業所跡を見て回った(2004.4及び10)。この関係の研究会も弁護士とともに随時行ったし(2004.4)、学会でも取り上げられてシンポジウムという形で報告もした(2004.9)。さらに、(4)札幌別院で、101体の連行犠牲者の遺骨が近年出てきて、その返還などに関する法的考察を行い、判明した遺族を訪ねて韓国訪問もした(2004.5)。 (II)もう一つ、この時期に行ったことは、こうした補償問題の原理的基礎研究であり、それについて論文を書き、また、国際人権法学会のシンポジウムで報告をしてまとめた。
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