本年度は、強制連行犠牲者の遺骨問題調査の継続(これについては、根室市大徳寺の連行朝鮮人労働者の遺骨の調査(釧路のかささぎの会の方と共に行い、さらに、牧の内飛行場も視察した)(2005年8月)、さらに赤平市宝生寺の遺骨の韓国遺族への返還を行ったフォーラムに参加した(2006年2月))のほかは、別の様々な「補償問題」、とくに時効が問題となる、民族間の不法行為(a)や蓄積的・累積的損害(b)の救済を扱った。 すなわち第1に、前者((a))に関しては、アイヌ民族の所有権問題(共有財産返還、観光アイヌ問題等)を扱い、釧路春採コタンの給与地の状況、厚岸のアイヌ共有財産の島ポンモシリ、阿寒の観光アイヌコタンの様子を調査し(2005年8月、10月)、成果を公表した。さらに、知的所有権の問題に関しては、オーストラリアの学者との交流(同年8月)が有益であった。また、韓国ソロクトのハンセン病施設を訪ね、現地でハンセン患者とも交流し、彼地の弁護士と補償問題について、その法的・政治的課題を検討した(同年7月)(その後、判決及び政治的解決がなされた)。 また第2に、後者((b))に関しては、尼崎のアスベスト被害を調査して京大で報告し(同年11月)さらに夕張塵肺問題について共同研究者両人によるによるシンポを開催し、夕張現地視察・岩見沢労災病院の塵肺患者との集会を試みた(同年12月)。以上の成果についても随時公表している。
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