本年度の研究実施計画は、前年度に引き続き、琉球大が所蔵していない沖縄関連図書の調査、購入及び複写に向けられた。並行して資料の中身の検討にも入っている。具体的には以下の作業を行った。 1、「世界」「朝日ジャーナル」など総合雑誌と、週刊誌や娯楽雑誌に登場した沖縄関連記事の複写。(復帰前までについてはある程度完了)。 2、本土に流入した沖縄ロック、沖縄ポップス、伝統音楽などについての資料収集。 3、沖縄を舞台とした映画、沖縄を描いた戯曲に関する資料収集。及びそれらと対比させるために被爆者映画、戦争を描いた戯曲なども収集。 4、沖縄出身の知識人・文化人、及び来沖した知識人についての調査。(徳田球一を中心として、改造社社長山本実彦とその周辺人物、島尾敏雄、折口信夫など)。 5、「琉球レビユー」に関する資料収集と宝塚など同時代の芸能文化についての調査 6、昨年度以来収集してきた複写資料、文献資料のファイリングと目録作成。 琉球レビューについては、同時代の宝塚歌劇場の変遷(国粋・欧化の二枚看板から少女歌劇へ、ナショナリズムとの関わり)についての興味深い論考と重ねることにより、「伝統の捏造」、愛国心の創出、同化や帝国の問題など予想以上に大きな研究テーマとなりうる確証が得られた。
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