観光統計は、国全体もしくは市町村等の各地域の政策立案のための重要な指標である。本研究では、我が国の観光産業の実態を明らかにし、観光統計の指標の作成と観光を考慮した地域経済モデルの構築を行う。本研究の主要な目的は以下のとおりである。我が国の観光政策、実態の把握及び将来動向の整理を行う。観光消費の経済効果の包括的な推計手法を開発する。観光に特化した調査方法を開発し、産業連関分析などの経済モデルへの拡張を試みる。行政機関が観光消費の経済効果を容易に測定可能とするシステムを開発する。主要な観光地を選択し、開発したシステムを用いて、観光の経済効果を測定し、その相互比較を行う。長期的・総合的な視点から、我が国観光産業の将来展望を示すことが本研究の目標である。 平成17年度は、主要観光地に対する調査として、昨年度に続いて、九州地域(長崎)、中部地域(名古屋)の調査を継続して実施した。観光産業の特徴、問題点改善方法などを検討した。また、地域経済との関係を解析した。各種資料、データ、情報を統計ソフトを用いて分析する方法の検討とデータ解析を行った。観光調査と経済モデルのリンクさせるために、地域投入産出モデルと観光調査情報を統合する手法の開発を検討した。簡易評価ソフトウエアのプロトタイプの開発を行い、地域投入産出シミュレーションモデルの設計、プログラム作成及びプロトタイプによる評価と試算を行った。研究成果の一部については、日本地域学会、米国西部地域学会等で報告した。
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