研究概要 |
平成17年度については、主に次を行った。(1)データ化してとらえられた政治システムと経済システムの相互作用についての前年度の議論を発展させること、及び、(2)政治システムや経済システムと経済パフォーマンスの関係を調べ最適体制はどのようなものであるかを探る最適体制の実証分析。以下で敷衍する。 (1)政治的自由と経済的自由の相互作用の分析 前年にも行った政治的自由と経済的自由の因果性の検定を継続・発展させた。前年に較べて目立って異なる結果は出ていないが、6月にトルコで開催された1st Intenational Conference on Business, Management and Economicsにおいて、"Causality between Political Freedom and Economic Freedom"のタイトルで英語の学会報告を行った。 (2)最適体制の実証分析 政治的自由度と経済的自由度の組み合わせで表された世界各国の経済体制と、それらの国々のGDP成長率、1人あたりGDP、あるいはジニ係数といった経済パフォーマンスの関係をデータを用いて調べることにより、経済体制の優劣を調べることを試みた論文「世界各国データを用いた制度と経済パフォーマンスの関係についての考察」を作成した。これを、5月に法政大学で開催された日本経済政策学会第62回全国大会で報告した。主な結果は次のようである。 一人あたりGDPの高い国では政治的自由も経済的自由も大きい。経済成長率に関する体制間の優劣ははっきりしないが、最近では経済的自由の大きい国の経済成長率が高い。政治的自由の拡大は所得平等をもたらす傾向がある。計画経済国の方が平等であるとは言えない。経済成長と所得平等を総合した経済パフォーマンスに対して、政治的自由はU字型・経済的自由は線形の関係が示唆される。
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