本年度は、次のような検討と調査を行った。 まず、阪神淡路大震災の災害の特質を整理し、それに関連した研究書、論文を収集し、検討した。 災害に関する研究をリビューすることを通して、阪神淡路大震災の大都市型災害としての特質を明らかにした。次に、阪神淡路大震災の災害研究において新しく導入された視点、テーマとして、ボランティア、災害支援、災害弱者、危機管理、災害報道と情報伝達などを取り上げ、いかなる点で新しい局面を切り開いたのかを検討した。以上が、既存研究の検討である。 さらに、阪神淡路大震災以降の震災対策の動向を検討した。この災害においては、家屋の倒壊(現在では、「層壊」と呼ぶほうが一般的である)による死者が大多数に上ったことにより、阪神大震災以降の災害対策が耐震化を中心にすえて実施されていることを確認した。 現在、それを「阪神淡路地震パラダイム」として整理中である。そして、2004年10月に発生した新潟中越地震と比較検討を行う予定である。 これに関連して、中国からの留学生である伍国春君と中国におけるサーズ発生時の中国政府、北京政府、マスコミ、市民の行動と対策を事例研究し、そこから、日本と中国の危機管理の比較検討を進めた。 実証的な研究としては、愛知県や静岡県の防災対策と組織編制について調査を行った。 さらに、2004年9月に発生した紀伊半島沖地震によって、津波警報、注意報が発令されたこと、さらに、12月のスマトラ沖地震による大津波の発生をうけて、津波味対策に関しても検討を行った。 研究発表としては、学内の災害関連の研究会で発表を行った。
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