研究課題
本研究の目的は、多国籍企業や外国人労働者を抱える日本国内の企業等で生じている異文化摩擦に関して、属性等の原因条件から因果関係を分析しうる方法を構築することにある。異文化摩擦を分析するための手法として、質的・量的分析の融合方法を提案した。方法論の完成度が低いため、再度留学生を含む大学生の大学の満足度に関するプレ調査を行った。具体的には、前年度の質問紙調査と、自由回答の欠損を防止することを目的としてWebによる追加調査を行った。被調査者の内訳は、有効回答212名(留学生61名・日本人学生142名・帰国子女9名)、無効回答2名であった。分析内容は、総合満足度と、大学システムに関する質問項目(5段階評価)および自由回答の関連について行った。分析手順は、ステップ0として、大学に対する不満に関する自由回答の上位11項目(学食、キャンパス、授業システム、校舎・教室、図書館、交流、教職員、学生マナー、寮、パソコン、設備)の不満項目ありなしのクロス表を作成した上で量的分析を行った。ステップ1として、ジニ係数(CART)による変数選択、ステップ2として、目的変数と選択された説明変数のクロス表作成、ステップ3として、Quine-McCluskyアルゴリズムによる変数縮約、ステップ4として、サポートルールにより検出されたサブグループの割合チェック、の4段階法を採用した。また、方法論の妥当性を計るために、Aprioriアルゴリズムとの比較考察を行った。今回の分析で、本研究で提唱している方法について、ある程度有効性はみられたものの、自由回答であるテキストが短すぎたという反省点が残った。今後は、長めのテキストを含むデータを取り、要因組合せについて分析する必要がある。また、ラフ集合等の集合理論に関する他手法の利点を取り入れながら効果的な手法を構築していく予定である。
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