平成16年度は、まず、日本における遺伝カウンセリングの実際について報告されている文献を収集し、遺伝カウンセリングが抱えている問題について知見を深めた。日本で、遺伝カウンセリングの普及が求められるようになったのは、1980年代のことである。遺伝医療の急速な発達によって遺伝カウンセリングに対するニーズが高まっていったことと、インフォームドコンセントに代表されるように患者中心の医療のあり方が志向されるようになってきたことが背景として指摘できる。 しかしながら、日本においては遺伝医療が確立しておらず、遺伝医療を支えるマンパワーの養成についても確立していない。遺伝カウンセリングを誰がどのようにおこなうべきなのかについて定まっていない。遺伝カウンセリングについての専門的な研修を受けることなく、診療の中で、主治医が患者に対して遺伝カウンセリングを行う場合が少なくないということがわかった。 次に、本研究者が参画した、親を対象に行った染色体検査結果告知についての調査票をたたき台に、医師を対象とした調査票を作成した。調査票の作成にあたっては、複数の遺伝専門医から有益なアドバイスをもらうことができた。 本研究は、日本周産期・新生児医学会に所属する医師を対象に調査を行うことを計画している。そこで、日本周産期・新生児医学会の理事長に、所属会員対象に本調査を実施する許可を求めた。現在、回答を待っている段階である。
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