結成したカンパニー(劇団)の本格的なトレーニングを毎月実施し、パフォーマンスのためのアクティングのスキルアップをはかった。それによって特に、即興性、創造性、およびチームワークの点で格段の向上がみられ、表現力が上がった。 高齢者施設におけるパフォーマンスは、前年度の課題を検討して、いくつかの改善をした。具体的には、利用者に対して、プレイバック・シアターの説明を言葉に頼らず実際に演じてみせることで視覚的な理解を促すこと、メンバーが観客と直接コミュニケーションをとり信頼関係を構築すること、さらには、信頼関係を築いたメンバーが誘いかけたりテラー(話し手)席の近くでサポートして話を引き出したりする工夫を試みた。これにより、高齢者の理解力の向上とストーリーを話す心理的負担の軽減が可能となり、利用者のプレイバック・シアターに関する評価は前年度に比して高くなった。また、福祉施設における文化芸術的な面での新しいグループワークメニューとして、職員からも高い支持を集めた。今後も継続した実践の積み重ねと、高齢者以外にも活動分野を広げることで、より魅力的なプログラム開発に向けたデータを蓄積していく予定である。 また副次的な効果ではあるが、学生にプレイバック・シアターを学ばせ、アンケートと感想をもとにした分析によって、プレイバック・シアターの目的とされる項目についての肯定的な評価と、対人援助者としての基本的な技能や資質を高めると思われる気づきや学びが確認された。
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