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2004 年度 実績報告書

社会関係を支える心の機能

研究課題

研究課題/領域番号 16653052
研究機関関西学院大学

研究代表者

森 久美子  関西学院大学, 社会学部, 助教授 (00290156)

キーワード高機能広汎性発達障害 / 心の理論 / 互恵性規範 / 平等性規範 / 分配行動
研究概要

平成16年度の主な目的は,高機能広汎性発達障害(HFPDD)群における心の理論獲得過程と互恵行動・公平行動の出現の関連を横断的に検討することであった.予備実験の結果を言語的知能や心の理論課題の成績と関連させて分析し,HFPDD群と健常群の特徴的違いを抽出するための実験課題の検討を行った.予備実験データとしては,既に収集していた(1)自己と他者への報酬分配に関する選好の測定,(2)自己と他者の間での単純な報酬分配(dictator game),(3)相手の了解を得ながらの報酬分配および相手から提示された分配方法に関する受諾・拒否(ultimatum game),(4)相手に分配を委ねられた場合の報酬分配(trust game)の4課題のデータを用いた.これに加え,知能検査得点や心の理論課題の成績などの基礎的発達資料を新たに収集し,両者の関連を検討した.
第一に,予備実験の課題通過と年齢,言語的知能(VIQ),全検査IQ(FIQ),心の理論課題の通過の有無との関連を検討した.VIQまたはFIQとの関連はすべての課題においてみられ,心の理論課題の通過は課題(2)〜(4)にのみ関連していた.自他の関係性を含む課題と含まない課題を別個に設けることの有効性が確認された.
第二に,課題通過者を対象として,課題場面での行動と,知能検査,心の理論課題の関連を検討した.年齢と知能検査得点を統制した分析の結果,心の理論課題を通過していない者は,課題(3)において,相手から過少な分配が提示されても拒否せずに受諾している傾向がみられた.分配選好や平均分配額との関連はみられず,過少分配の拒否が平等ルールの遵守とは独立な相手の意図の検知を反映する可能性が示された.課題(4)は心の理論通過との関連はみられず,現場ボランティアや支援専門家による評定など,質的に異なる社会性指標を収集する必要が残された.
これらの点を踏まえて実験プログラムの試作を行った.平成17年度はこれに基づき,HFPDD群,健常群の実験データ収集を行う予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 高機能広汎性発達障害児における分配選好と分配行動の発達2004

    • 著者名/発表者名
      森久美子
    • 雑誌名

      日本社会心理学会第45回大会論文集

      ページ: 540-541

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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