研究課題/領域番号 |
16653062
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉良 安之 九州大学, 高等教育総合開発研究センター, 教授 (30195408)
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研究分担者 |
池見 陽 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (20159643)
伊藤 研一 学習院大学, 文学部, 教授 (60184652)
福留 留美 九州大学, 高等教育総合開発研究センター, 助教授 (40295754)
田中 健夫 九州大学, 高等教育総合開発研究センター, 助教授 (20294986)
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キーワード | 臨床心理学 / フォーカシング / セラピスト援助 / 心理療法 / スーパービジョン / フェルトセンス / 主体感覚 / 体験過程促進 |
研究概要 |
1 研究実施経過 吉良・池見・伊藤は各所属機関において、各自のスタイルで本方法を実施した。平成17年12月17〜18日に福岡にて、研究代表者、研究分担者、研究協力者(東京女子大学・近田輝行氏、帝京平成大学・村里忠之氏、京都市南青少年活動センター・辰巳朋子氏)による研究会議を開催し、それぞれの実践を報告するとともに、本方法によりセラピストおよび心理療法にどのような影響があるか、それはスーパービジョンとどのように異なるか、等について討議を行った。討議をもとに、吉良・池見・伊藤はそれぞれ、本方法に関する研究論文をまとめた。 2 研究結果 セラピストフォーカシングの実施スタイルは多様であるが、いずれのスタイルにおいても、セラピスト、心理療法への以下のようなポジティブな影響が見られた。[セラピストへの影響]本方法で、セラピストは自身が面接過程で感じていることをフェルトセンスとして体験することにより、自らの感情を対象化し、それから体験的距離をとることが可能になる。それはセラピストの主体感覚を賦活する臨床的意義をもつ。[心理療法への影響]セラピストの主体感覚の賦活化により面接関係に変化が生じる。またフェルトセンスの吟味から生じる気づきを手掛かりにして、心理療法過程の理解が促進されるとともに、心理療法の今後の方向性が見出しやすくなる。 スーパービジョンとの相違点としては、スーパーバイザーは事例全体のことを把握して助言する責任があるのに対して、本方法のガイド(リスナー)は、セラピストに主観的に感じられたことについてのみ関わっている。スーパービジョンと比較して、指導の要素は少なく、体験過程促進の要素の大きい方法と言える。
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