研究課題/領域番号 |
16653064
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
松原 達哉 立正大学, 心理学部, 教授 (90015438)
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研究分担者 |
篠田 晴男 立正大学, 助教授 (90235549)
中田 洋二郎 立正大学, 教授 (20106214)
高橋 知音 信州大学, 教育学部, 助教授 (20291388)
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キーワード | 大学生 / ADHD / AHEAD / 抑うつ / チェックリスト / ピア・サポーター / コーチング / 不注意 |
研究概要 |
今年度は、日本における軽度発達障害学生の心理臨床的諸問題について、まず検討を行った。二次性障害としてのうつ、ボーダーラインパーソナリティという点からの医学的診断や薬物療法が欠かせないことが少なくないが、援助の視点に発達障害を加えることで、本人の生きにくさがかなり軽減されることが、研究協力者の田中氏から指摘された。さらに、このような精神衛生上の諸問題を包括的に検討するために、アッケンバッハによるAdult Self Report(ASR)の標準化データの収集を進めた。また、ADHD特性尺度などの開発成果との外部妥当性検証を進め、注意や社会性の問題項目に加え、引きこもりなどの内向性の項目の感度が高く、診断補助の点で有益なものと考えられた。一方、神経心理・生理的な評価も重要となってきており、今回、神経心理検査でありリハビリテーションにも応用可能なソフトウェア(CaptainLog)を導入し、検討を開始した。心理臨床的技法の開発では、LDあるいは高機能広汎性発達障害では、戦略的なティーチングの有効性が高いが、ADHDではコーチングのようなガイダンス的な技法が、実行機能障害を軽減する上で有効と考えられヽコネチカット大学LDセンターのD.Parker氏を招聘し、軽度発達障害学生支援におけるコーチングの導入経過、および最適化のプロセスについて情報提供をえた。さらに、コーチングの実際について、体験学習の機会を得て、臨床技法としての基本について意見交換を行った。この中で、1)パートナーシップの確保、2)目標の明確化、3)質問の仕方(オープンな質問で行動に直結する内容)、4)報告の重要性、5)面接頻度と形式の独自性(タイムリーなもの)といった基本コンセプトを確認し、ADHD特性への対応等について事例的検討を深めた。
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