研究課題
音楽療法について音楽心理学の立場から考えるために、国内外の権威者を招いて対話の場を設け、情報収集を行った。今後数年以内に、関連のある国際学会を日本に招致すべく、準備を進めつつある。招致に成功すれば、本研究計画の目的に沿った形で特別セッションを計画する予定である。最近マスコミ、音楽産業において、モーツァルトの音楽が心身に与える影響が話題になっていることに注目し、モーツァルトのピアノ曲を聴くことが、脳波のα波を増し、心身をリラックスさせるような効果があるかどうかを、実験的に検討した。この研究は、新しく導入した測定システムの試運転を兼ねるものであり、信頼性のあるデータを得ることができることを確認したことがまず重要てある。モーツァルトの音楽(ピアノ曲)は確かにα波を増し、主観評価においてもリラックスできるとの評価を得た。楽曲の代わりに、同じ長時間スペクトルを有するノイズを用いたところ、主観評価においてリラックスできないと逆の評価になったにもかかわらず、同じようにα波の増す傾向が見られた。今回の実験から決定的な結論を下すことは難しいが、α波と心理的なリラックス効果とを単純に結びつけるような音楽産業界の動向に対して、具体例を示して疑問を投げかけることができた。一方、この楽曲と、それを時間軸上で逆転させた刺激とを聴取したときの脳波を比較したときに、アルファ1波帯域(8.5-10.5Hz)、アルファ2波帯域(10.5-12.5Hz)とを分離して分析すると、違いの生ずることが判り、長時間スペクトルが同じであっても、楽曲とそうでない刺激とのあいだに、脳波の上でも差が生ずることを確認した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
日本音響学会聴覚研究会ビギナーズレクチャー 34,8(印刷中)
日本基礎心理学会第23回大会 シンポジウム2「実験心理学の今日的意義」
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