研究課題
音楽、言語のいずれにおいても重要な時間的規則性の知覚に関して、3つの短音によって示された隣接する二つの時間間隔の比率がどのように知覚されるかを、これまでに種々の知覚実験によって調べてきたが、その結果として、1対1の比率が特別なカテゴリーであること、そのカテゴリーが、第2の時間間隔の方が物理的に長い側に偏って現れることを確認した。今年度に行ったことは、この成果を国際的な研究会で発表するためにまとめ、雑誌論文として投稿したことである。現在、このカテゴリーに対して特有の事象関連電位が生ずるかどうかを調べている。昨年度は、モーツァルトのピアノ曲が脳波のアルファ波を増加させるかどうかに着目した研究を行っており、今年度前半にはそのデータの分析を続けていたが、一時中断している。現在、来年度にこの研究を再開するために、これまでに得たデータの分析と、システムの整備とを行っている。来年度には、日本音響学会と米国音響学会との合同研究発表会がホノルルにて開催される予定であるが、本研究計画の重要な課題である、音楽心理学に関する内外の研究者との情報交換を効率的に行うために、中島が米国のDiana Deutschとともに、音楽と言語との関連について心理学の観点から考察を進めるようなセッションを開く予定である。現在、参加者の人選を進め、参加予定者と討議内容に関するうちあわせを進めている。音楽のリズムがどのように知覚されるかについては、聴覚体制化に関する一般的な考察と関連付けて理論化を試みており、特に、異なる区切音を用いたときに時間パターンの知覚がどのように変化するのか、特に音楽や言語との関連を重視しながら、実験データを集め、さらに過去の実験データを整理している。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
The Japanese Journal of Psychonomic Science 24,1
ページ: 63-68