研究概要 |
コリメータを用いず、エネルギー分解能の高い半導体検出器を用い、コンプトン散乱の運動学からガンマ線の入射方向を求めるガンマカメラについて、平成16年度は試作機(GREI)の全体的な性能を評価した。実験結果に基づき、核種ならびに化学形に関する調査および検討を行った結果、被ばくによる影響なども考慮すると、医療用に使用されるTcのような低エネルギーガンマ線放射核種を用いた撮像が現実的であることがわかった(平成16年度実績:サイクロトロン国際会議、日本神経科学会ほか)。GREIは原理上、計測精度を高くすることができるが、平成17年度にガンマカメラに適した計測パラダイムを調査検討した結果、情報処理の解明には、時空間的解像度以外の側面が重要であることが指摘された(平成17年度実績:日本心理学会)。これらに基づき平成18年度はパラダイム設計調査を継続した。 (1)GREIのようなRIを用いた計測法は計測時騒音がないため、脳活動計測でMRIに比べて有利な分野の一つが聴覚情報処理である。計測時騒音がない点はMEGやEEGも共通であるが、(2)GREIを含む血流・代謝計測は、MEG、EEGに比べて、時間に幅のある過程の計測には有利である。ただしこれはm系列変調法(Takeichi et al.,Neuroscience Research,57,314-318,2007)を用いればMEGやEEGでも対応できる。(3)GREIのもうひとつの長所は、複数核種同時計測を応用した運動補正技術(平成17年度実績:特開2005-331467)にあると考えられるが、この点は、NIRSや信号処理でもある程度対応できる。現在、脳活動計測技術の比較検討をまとめた原稿を準備中である。
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