今年度は、地域通貨の各地の多様な実践を見学・学習することを主眼とし、またあわせて2004年10月に行われた日本社会教育学会大会においてラウンドテーブルを組織し、地域通貨と生涯学習論との接点を探ることとした。 フィールドワークとしては、、次のところを訪問見学した。2004年8月に千葉の地域通貨「ピーナッツ」を使ってまちおこしを実践している「ゆりのき商店街」を訪問し、理論的、実践的な説明を受けた。東京では、「なまけ」という地域通貨を発行している飲食店「カフェスロー」を訪問した。国際的な経済的不平等のメカニズムを知るためのゲームを通して地球全体のエコロジカルな実践の重要性を認識する。また、多摩ニュータウンでは、地域の人々を結ぶ学びの実践として通貨「como」を発行しているが、その総会に参加し、関係者から聞き取り調査を行った。一人の「専業主婦」が地域通貨と出会うことにより、アンペイドワークの見直しや地域活動への新しい視点の獲得など個人の意識変革から出発して、地域貢献を含めた多様な活動へと発展するプロセスを語ってもらった。 関西では、京都の地域通貨キョートレッツの見学や大阪の西成区の一地域、通称「釜ヶ崎」で流通している「カマ」の実践の見学を行った。社会的に排除されている人々の地域通貨の実践は、従来ともすれば「遊び」とみなされることの少なくなかった実践を、生活防衛や地域コミュニティの再生や、共生のメディアとして機能する可能性をも秘めている。
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