本研究は、アフリカ地域に対する教育分野の国際協力に関し、政策レベルおよび現場での実践レベルにおいて自助・自立の側面から包括的に考察し、アフリカの真の自立へ向けた国際協力に新たな展望を開くことを目指している。その事例研究として、日本の主要援助国であり、かつ米国・英国などの二国間機関、国際機関、NGOの主要被援助国でガーナおよびケニアを対象とする。国際協力の構造と特質を「自助努力(self-help efforts)」の視点で解析し、政策科学・比較教育学的手法により、基礎教育段階の教育協力の最適モデルを模索することを目的としている。 前年度の準備段階でレビューした教育協力プロジェクトを当該国の開発課題の中で位置づけつつ、本研究で適用する比較枠組みの構築を試みた。調査対象国等に在住する協力研究者の支援を受けながら、現地関係者との面談調査および資料収集を行った。本年度(第2年次)は、アフリカにおける教育開発支援のあり方を批判的に検討すると共に、特にケニアにおける初等教育無償化政策の課題と矛盾を国際的な支援と自助努力の観点から分析した。 この他、本研究の副次的成果として、広島大学教育開発国際協力研究センターが中心となり、自立的な教育開発のあり方を相互に模索する「基礎教育開発のためのアフリカ・アジア大学間対話」プロジェクトを本格的に立ち上げ、アフリカ8カ国とアジア3カ国の大学等が参加する共同研究体制を整備しつつある。
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