平成16年度は、初年度として(1)国際共同研究のネットワーク構築、(2)アジア諸国の高等教育戦略及び留学政策に関わる先行研究や資料・情報の入手、ならびに(3)関連学会等での発表を行った。国際共同研究のネットワーク構築については、中国、マレーシア、ベトナムの海外共同研究者の間にメーリングリストを開設し、中国(北京)での研究打ち合わせ(2004年8月)、及びベトナム(ハノイ)での研究打ち合わせ(2004年11月)を行った。また、共同研究者5名(曲徳林、崔世広、高益民、Vu Thi Minh Chi、Lrong Lim)を招聘し研究の進捗状況を確認した。(2005年1月)。この東京会合では、研究内容の中間報告を行ったほか、上智大学および早稲田大学を事例とした日本の大学の国際戦略に関する調査、日本学生支援機構東京日本語教育センターへの訪問調査を実施し、日本の留学政策について検討を行った。また上智大学では留学生及び日本人学生による留学政策懇談会を開催し、あわせて早稲田大学アジア太平洋研究科でも今回の中間報告を「国際教育市場をめぐるアジア諸国の留学政策」というテーマで口頭発表し意見交換を行った。他方、関連学会での発表としては、日本比較教育学会(2004年6月、名古屋大学)において「マレーシアの高等教育戦略と国民統合をめぐる課題」について発表した。また、日本中国留学生教育交流セミナー(国際教育交流協議会及び中国高等教育学会外国留学生教育管理学会主催、2004年9月、上海)においても「高等教育戦略としての留学政策と日中間の留学交流」というテーマで論文参加したほか、共同研究者の曲徳林教授(北京語言大学学長)も「中日における留学生受け入れ政策の現状、比較及び展望」と題して基調講演を行った。こうした初年度の活動を通じ、高等教育戦略及び留学政策における双方向性及び教育の質の重要性が指摘され、今後、情報・資料の収集と研究を継続すると同時に、その成果を次年度の研究報告書にまとめることが確認された。
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