本研究では、教育方法が大きく変わる幼稚園から小学校への学びをいかに繋げたらよいかを探るために、幼稚園年長児と小学校1年生を対象に、遊びを媒介として「楽しみながら自発的に計算を学ぶ」学習法の開発を試みる。 本年度は、17年度の研究対象児であった附属幼稚園年長児が附属小学校1年生になったので、継続的に算数の授業場面および生活科での活動内容をビデオ撮影した。特に、幼稚園児と1年生の連携に焦点をあてて、幼稚園児と1年生が共同で行った各種の活動の中から、計算場面が多く現れた「夏まつり」と「お店屋さん」をとりあげ、その中で数や量、計算がどのように扱われ、園児と1年生がそれらの活動の中で、互いに何を学んだかについて分析を行った。 幼稚園児が店を開いた場合、品物の売値は各自が決め、価格幅は非常に大きかったが(アクセサリー屋では、1円〜10000円の幅があった等)、1年生では、売値は実際の価格に近いものであった(八百屋では、キャベツが100円、人参が50円等)。園児の売買方法は、購入する品物の数だけ、紙製の四角いお金(表面に様々な数字あり)を渡すというものであったが、1年生では、あらかじめ作った「価格リスト」に基づき合計金額を計算し、受け取った紙幣や各種コイン(紙を丸く切り抜いた物)を数え、必要な場合は釣銭を出す、という行動が見られた。園児でも一桁の加算は可能であったが、合計金額を出す際には1年生が手助けをし、園児に計算内容の説明をしていた。また、園児がつけた高額な価格の計算は1年生でも難しい場合があり、1年生どうしで相談をし、協力して合計金額を出していた。園児と1年生の連携活動により、互いに良い刺激を受けながら学習が進んだ。
|