研究概要 |
平成17年度には,次の2点を実施した。 I:横断的新領域「モデリング」の学習活動の諸様相の同定 II:高校情報科における「モデル化とシミュレーション」の分析 「I:新単元「モデリング」の学習活動の諸様相の同定」の研究成果は次のとおりである。 新単元「モデリング」の学習活動には次の諸様相が内在する。 ●科学的あるいは技術的に現実味のある問題場面に直面し,取り組み可能な問題を設定する。 ●科学的な知識に基づく観察・分析によって問題の特性を探求する。 ●科学的な探求に基づき,数学的なモデルを構成する。 〓状態等の表現に必要な変数を特定する。 〓特定された変数の間の関係をとらえる。 〓変数の変域をとらえる。 ●数学的モデルに基づくシミュレーションを情報機器によって実行する。 ●当初の問題場面に応じてシミュレーションの結果を評価し,科学的探究や数学的モデルの修正に適用する。 「II:高校情報科における「モデル化とシミュレーション」の分析」の研究成果は次のとおりである。 ●「モデル化」と「シミュレーション」が概念的に明確に区別されている。 「モデル化」は,対象や現象を抽象的に表現する過程と定義されている。これに対し,「シミュレーション」は,モデルから必要な解が得られるまで複数の解法を繰り返し試みる作業と定義されている。 ●理系の各教科の認識論的な特性が学習活動に反映されていない。 モデリングに関して理系教科には,"現実を映す鏡"という共通性とともに,現実に対する相対性/説明可能性/実用性など,教科に固有な認識論的な特性がある。後者の諸特性及びこれらの相補的な関係が高校情報科における学習活動に十分に反映されているとはいえない。
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