研究課題/領域番号 |
16654001
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮本 雅彦 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (30125356)
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研究分担者 |
藤田 尚昌 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (60143161)
田邊 顕一郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (10334038)
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キーワード | ツー代数 / 擬トレイス関数 / モジュラー関数 / 有限群 / 対称代数 / テンソル積 / 頂点作用素代数 / ムーンシャイン予想 |
研究概要 |
頂点作用素代数は、モンスター単純群の既約表現の次元と楕円モジュラー関数の係数との関係から導きだされ、2次元共形場理論の厳密な数学公理を与えるものと理解されている。ところが、頂点作用素代数の公理からでは、これまでの数理物理が考えていたような次数関数の対角化可能性は出てこない。この事実は物理においても認識されてきており、この解釈を巡って,logarithmic型の作用素など、新しい展開が起こっている。頂点作用素代数のほとんどの結果は、有理型(対角化可能)の下で行われているが、有理型は非常に例外的なものでしかない。研究代表者の宮本は理論で問題となっていたlogarithmic型のトレイス関数の数学的な意味を明確にすることに成功した。また、モジュラー不変性との関係が予想されているテンソル積の研究を進め、C2有限条件の下で、テンソル積加群が自然に定義できることを示し、オービフォルド型の頂点作用素代数に対する応用を得た。この段階で最も重要な概念は、これまで半単純環としてしかほとんど扱ってきていなかったツー代数の環論的な考察である。本研究の初年度では、その考察を進め、それらのモデルとなるような例を多数構成することを目標とし、ジョルダン行列をグライス代数として持ち、任意の中心電荷を持つような頂点作用素代数の構成に成功した。これらのツー代数は多くの環の例を与えると予想され、それらの考察が次年度以降の目標である。また、ウエイト1の空間がないので、自己同型群は有限群だろうと予想でき、その考察もこの研究の主要目標の一つである。
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