研究概要 |
平成16年度に続き,投票の理論に関係する代数多様体を研究した. 投票の理論はある種の最適化問題と考えることもできる.代表者は,研究の過程で,投票の理論に現れる方程式が線型計画問題の双対内点法に有効であることを発見した.かかる方程式は,ベクトル束の曲率に関係する.当然ながら,線型計画の解法との直接的な繋がりも期待されるが,この方面からの解析は今後の課題である. 上の方程式は投票の理論も含め,最適化に関して重要な役割を果たすと思われる.代表者が主指導教員である佐伯祐子(奈良女子大学博士後期課程在籍)は,その学位論文で上述の方程式を使ってアファインスケーリング法と中心パス法の類似性を論じたが,その後の研究で,両者は完全に同一の解法であることがわかった.現在この結果を論文にまとめているところであり,これは本研究の主要な結果となると思われる. さらに,上述の方程式のある表現を使って,双対内点法を修正して,厳密解を得ることにも成功した.この結果は応用上重要とは云えないが,双対内点法の理論的解明には一定の役割を果たすと期待される.修正の方法を述べる.上述の方程式により,実行可能解について通常の双対内点法で使われる評価よりもより良い評価が得られる.この評価は実行可能解が境界にあっても有効であることが示される. これらの成果を投票の理論に応用することが今後の課題となろう.
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