研究課題
標数p>0の体上の代数多様体のリジッド・コホモロジーは有理P進コホモロジーで、近年の多くの数学者の寄与により、その基礎部分が完成に近づいた。本研究では、その整構造を導入することを最終目標にしている。非特異な開多様体で境界が正規交差因子となるものについては、加藤が導入した対数的クリスタリン・コホモロジーが一つの整構造を与える。この研究では、必ずしも非特異でない一般の多様体に対して、完備超被覆に対する対数的クリスタリン・コホモロジーを利用して、その整構造を導入し、その性質を考察すること一つの目標にしている。今年度の研究では、(1)単体的対象の超被覆とその細分についての圏論的な一般化と(2)対数構造の拡張に関する部分的な結果の2点で成果を上げた。以下その内容を述べる。(1)標数pの多様体のp進コホモロジーを考える上では、その多様体の「良い」完備化を構成すると共に、標数0への持ち上げが必要になる。それらの操作を単体的多様体上で行うために必要になる概念を導入し、圏論的な立場で公理化した。超被覆とその細分の構成方法は、ある意味「層化付け」できるので、コホモロジーの極限のようなものを導入することも可能な状況になっている。(2)対数構造付き多様体も同時に考える方が、応用を考える上で便利な場合もある。先に述べたように、与えられた多様体を対数構造付きで完備化することが必要である。現在のところ、局所的な完備化(チャートが一枚の対数的スキーム)の完備化に対して結果を得た。
すべて 2004
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Geometric aspects of Dwork theory, de Gruyter Vol.II
ページ: 931-981