昨年度は、ねじれたユニヴァースの族についての研究を行った。今年度は、そのような族を背景とするとき、どのような代数トポロジー的構成がゲージ理論の不変量のために必要であるかについての研究を行った。 特に、Tian-Jun Li氏との共同研究において、Pontrjagin-Thom構成のゲージ理論への適用と、その構成の拡張について考察した。ただし、現在のところ、モジュライ空間のコンパクト性を仮定する必要がある。 いまだ理論の全体像には至っていないが、昨年に比して明確にされた諸点がある。そのうち二点は以下の通りである。 (1)代数トポロジーの一般論において、次のことはよく知られている。枠付同境群、安定ホモトピー群、安定コホモトピー群、のうち、最初のふたつは同型であり、ある種の双対性が成立するとき、最後のものとも同型である。ゲージ理論への適用される変種においても同様のことが示され、Seiberg-Witten理論においては、この双対性を経由するメカニズムが働いてBauer-Furutaによる安定コホモトピー不変量が得られることが明らかにされた。 (2)Seiberg-Witten理論において、有理ホモロジー3球面に対し、ManolescuのFloer homotopy typeをより精密化した"Floer simple homotopy type"が、少なくともU(1)作用を忘れたカテゴリーにおいては定義可能であることが見出された。
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