研究概要 |
階数nの自由群F(n)の自己群の外部自己同型群Out F(n),およびグラフのモジュライ空間G(n)(あるいはOuter Space X(n))のコホモロジー的な構造について,理論的な考察と,コンピューターを用いた具体的な計算の両面からの研究を,引き続き推進した. まず,コンピューターを用いた具体的な計算については,Out F(8)の12次元のホモロジー類として定義される,第3森田類の非自明性について,引き続き実験的な計算を続けた.しかし,必要な計算量が膨大であることから,最終的な目的達成には至らなかった. つぎに,理論的には,一般次数の森田類の非自明性の考察に加えて,最近Galatiusにより得られた,Out F(n)の安定コホモロジー群が自明であるという著しい結果と,当研究との関わりの可能性について研究を始めた.また,Penner氏と研究代表者との共同研究により最近得られた,タイヒミュラー空間上の自然な,写像類群同変1-コサイクルの構成が,Outer Space X(n)に対して一般化することができるかどうかの考察も始めた.
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