研究概要 |
太さを持った1次元弾性体の,抵抗を無視した運動方程式(E):γ_<tt>-ργ_<xxtt>+γ_<xxxx>=(uγ_x)_xを考える.ここで,γ=γ(x,t)は考える1次元弾性体をあらわし,ρは物理的に与えられる定数,u=u(x,t)はLagrangeの未定乗数(関数)である.この方程式の解の存在を示すためには,未定乗数uを消去するために(E)を波動方程式と積分方程式に分離した後,積分作用素 L_<ε,P_0,P_1>:(φ,υ)→(φ+L_<P_0>(φ)^T-υ^T-{∫^1_0φdx}^<P_1^⊥>) が解に関して一様に可逆な自己随伴Hilbert-Schmidt作用素であることを示す先験的評価が必要があった.ここでφは曲線に沿った球面の接ベクトル場,υ=υ(t)は時刻のみに依存する未知関数である.この作用素Lを解の曲線に沿って束縛条件の平面P_0に平行な方向P_0^Tと直交する方向P_0^⊥に分解したものの核関数はそれぞれ1-max{x,y}-(1-x)(1-y)と1-max{x,y}であり,両方とも0以上であるが,そのことから作用素としての正値性が従うわけではない. 今年度の研究において,この作用素Lが可逆であることを正しく証明することができた. 定理.積分作用素Lは可逆である.その固有値の絶対値は解に依存しないある正の定数C>0により下から評価される.従って,逆作用素L^<-1>は上から一様に評価される.
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