研究概要 |
qdアルゴリズム,すなわち,離散時間戸田方程式とCatalan路の密接な関わりについてのViennot(1984)の研究の理解を深め,これを突破口に,その他のグラフとアルゴリズムについて研究を着手する.従来の連分数を用いた研究手法に加えて,今年度は直交多項式の観点から研究を開始する.様々な種類の直交多項式に対してそれに対応する組合せ論的なモデルが知られている.待に,Viennotにより,一般の直交多項式に対するものとして平面上の格子路の一種である重み付きMotzkin路を用いた解釈が与えられており,そこで用いられた手法は統計物理学や分子生物学などの問題の解決に用いられている. 今年度は,直交多項式とは異なる多項式の系列であるLaurent双直交多項式に対して,その組合せ論的な解釈を与えることを試みた.具体的には,Laurent双直交多項式と平面上の格子路の一種である重み付きSchr{″o}der路との間の関係に着目し,Laurent双直交多項式の満たす直交条件が,ある条件を満たす重み付きSchr{″o}der路の重みの総和を与えることを示した. Schr{″o}der路に対する離散可積分系は,Laurent双直交多項式のスペクトル変換を通じて導出され,FGアルゴリズムとして知られる離散方程式と予想される.
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