研究分担者 |
小谷 眞一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10025463)
眞鍋 昭治郎 大阪大学, 大学教育実践センター, 教授 (20028260)
鈴木 譲 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50216397)
高信 敏 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40197124)
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研究概要 |
疑似乱数は主として,モンテカルロ法(数値計算)と計算機科学(暗号理論)で必須の道具である.計算機科学における疑似乱数の概念は数学的きわめて明解に定義されている.一方,モンテカルロ法におけるそれは,甚だ曖昧で,専門的研究者たちの間でもその理念さえ一致していないのが実績と言えよう.そして様々な指標のもとに多くの研究者がモンテカルロ法のための疑似乱数生成器のあり方を模索している. このような現状を打破するため,当該研究ではモンテカルロ法における疑似乱数生成器の概念と機能を数学的に明確にするための理論の構築を目指して研究した.具体的には,計算機科学における疑似乱数の定式化をほぼそのままモンテカルロ法に持ち込む.ただし,その安全性については,計算機理論における暗号理論的安全性を少し弱めた概念をモンテカルロ法における安全性として導入する.するととくにモンテカルロ積分(大数の法則に訴えて確率変数の積分(平均)を求める方法)の用途のための安全な疑似乱数生成器として,ペア毎に独立な標本を生成する手法がすでに開発されていることが分かる. ただし,このような疑似乱数生成器の定式化をモンテカルロ法において合理的に説明するためには,モンテカルロ法自身のあり方を定式化する必要がある.この部分の理解を広めるために論文Security of Pseudo-random Generator and Monte-Carlo Method, Monte Carlo Methods and Appl.10-3, VSP (2004),609-615,を著した.さらに,同様の内容を2005年3月の日本数学会年会において企画特別講演「疑似乱数の安全性とモンテカルロ法」で当該研究の代表者が発表する機会を得た.
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