• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

確率非線形分散型方程式に対する解の存在と漸近挙動の解析

研究課題

研究課題/領域番号 16654025
研究機関京都大学

研究代表者

堤 誉志雄  京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (10180027)

研究分担者 重川 一郎  京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (00127234)
吉田 伸生  京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (40240303)
キーワードstabilization by noise / 確率KdV方程式 / 時空間ノイズ / 乗法性ノイズ / pathwise stability
研究概要

平成18年度は,非線形分散型方程式であるKorteweg-de Vries方程式に,時間空間ノイズを乗法的に付加した揚合,解の時間無限大での漸近挙動がどのように変化するかを研究した.昨年度は時間ホワイトノイズを乗法的に付加した場合について研究したが,今年度はより物理的に自然な設定である時空間ノイズを考えた.時空間ノイズを付加した場合,まずその特異性により解の存在が問題となるが,今回は解の時間無限大での漸近挙動を解析することに焦点を絞るため,時間変数に関してはホワイトであるが空間変数に関しては正則である時空間ノイズを扱った.(空間変数に関して正則とは,空間変数のフーリエ成分が高周波帯で速く減衰するノイズのことである.)空間変数に関し正則なノイズに対しては,無限次元空間においても伊藤積分が数学的に厳密に定式化できるため,確率微分方程式の可解性に関しては扱いが容易となる.しかし,たとえ空間変数について正則であっても,すべてのフーリエ成分を含んでいるため,その解析は複雑である.このような乗法性ノイズを付加した場合に,ほとんどすべての個別解が時間無限大でゼロに収束する十分条件を,ノイズの共分散作用素に関する条件として与えた.この条件は,Caraballo, Liu and Mao(2003)が乗法性時間ノイズを付加した確率非線形放物型方程式に対して与えた条件の,時空間ノイズへの一般化となっている.このような現象は「ノイズによる安定化」(Stabilization by Noise)と呼ばれ,常微分方程式や放物型方程式では古くから知られていた.(たとえば,Has'minskii, Stochastic Stability of Differential Equations(1980)において指摘されている.)しかし,Korteweg-de Vries方程式のような保存系に対しては,このような結果はほとんど無かったと思われる.
時空間ホワイトノイズのような空間変数に関して正則でない時空間ノイズは,今回の研究では扱うことができなかった.これは,今後の重要な課題であろう.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] On equivalence of $Lsp p$-norms related to Schrodinger type operators on Riemannian manifolds2006

    • 著者名/発表者名
      I.Shigekawa
    • 雑誌名

      Probab.Theory Related Fields 135・4

      ページ: 487-519

  • [雑誌論文] Directed polymers in random enviroment are diffusive at weak disorder2006

    • 著者名/発表者名
      F.Comets, N.Yoshida
    • 雑誌名

      Ann.Probab 34・5

      ページ: 1764-1770

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi