本年度は申請者が考案したウェーブレットを用いた非線形情報処理システムをさらに改良を加えて、カフェウェール錯視の分析ならびにカラーヴィジョンにおける錯視の研究を行った。今回の改良点は再構成フィルタバンクに関するものが大きかった。このおかげで、シェブルール錯視、マッハの帯、ヘルマン格子、トドロヴィック錯視、同時対比錯視などについても満足のいくシミュレーションが得られた。特にカラーの錯視に関するウェーブレットによる解析は大きな成功をおさめた。しかし同時にいくつかの今後の問題点が明らかになった。これについては現在論文をまとめて、来年度に発表予定である。 ウェーブレットそのものについても、線形代数の枠組みでフレーム理論を作ることに成功した。これについては現在、論文ならびに著書として成果を記しているところで、発表は来年度になるであろう。 以上のように、今年度は来年度に向けての基盤固めを十分おこなうことができた。なお成果の途中経過は和文の論説として発表した(研究発表の欄を参照。)
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